肖像・銅像
彫刻家・小張隆男は、肖像彫刻を格別に得意として、多くの作品を生み出してきました。
優れた肖像作品は、万巻の書にも匹敵すると言われるように、人の歴史を雄弁に語り、強い意志と心の表象となって素晴らしい記念となります。
千代の富士 像「出を待つ」
控え室で出番を待つ横綱・千代の富士(故・九重親方)の姿。
横綱が現役引退を心に決めていた時期に依頼を受け制作した銅像で、小張隆男が制作した肖像・胸像の中でも代表作です。昭和最後の大横綱の、気力、体力共に充実していた現役のピークとも言える時代を肖像に収めさせてもらう経験は、彫刻家冥利に尽きる貴重な経験でした。この肖像は 断髪の日の式典で除幕され、現在九重部屋の玄関と福島町横綱記念館内の2ヶ所に設置されています。その後も九重親方とは長いお付き合いをさせてもらい、北海道・福島町の横綱記念館のモニュメント、そして、台東区谷中・王林寺の全身像と肖像を制作させていだくきっかけとなる作品でした。
(株)タナカの会長・田中豊氏の肖像。創業50周年を記念して2000年に制作を依頼されました。70歳を超えてもかくしゃくとして新技術の開発に挑む、田中氏の前向きで思慮深い生き方を表現したいと念じつつ制作しました。
書道家・秋山 海堂 像
茨城県河内町・本人宅
明治39年(1906年)。現在の生板地区で農家の長男として生まれ。25歳の時、権威ある「書鑑」で特待生に合格。翌年から著名な書道展に連続して入賞。「東に海堂あり」と全国にその名をとどろかせた書道家。温厚な人柄と書の達人ぶりから、いつしか「河内の良寛さん」と呼ばれ、昭和29年(1954)には白龍書道会を設立し書道の普及に努め、会員数1万人の団体に育てた書道会の偉人。顕彰会からの依頼で制作しました。
藤沢 勘兵衛 像
旧桜村(現つくば市)村長在任中、つくば研究学園都市の生みの親として 多大な功績を果たされた 藤沢氏は地域の様々な役職を歴任されました。 本作はつくば市松見公園に設置。土浦市十五ヶ町村土地改良区事務所にも胸像を制作・設置しています。
レリーフ
レリーフ=浮き彫りとは、平面を浮き立たせるように彫りこむ、もしくは平面上に形を盛り上げるように肉づけして制作する彫刻の技法です。小型の作品であれば、原型を元に量産することも可能なため、記念品等の目的でのご依頼も多くいただいています。
千代大海
幕内昇進記念 レリーフ
中川 祐俊レリーフ
記憶の肖像
これまで長年にわたり彫刻の制作依頼を受けている中で、ご存命ではない方の肖像を、残された写真から想像力を膨らませ、記憶をたどり制作する機会が増えてきました。そこで、歴史上の偉人を記憶を元に彫刻作品として甦らせる試みとして「記憶の肖像」のシリーズに着手しました。記憶と想像力を駆使して、生き生きとした人間らしさを手仕事で表現することに彫刻作品の本質があります。
針金のように極端に細く、長く引き伸ばされた人物彫刻で知られる彫刻家 アルベルト・ジャコメッティ。彼は人間の実存を表現するために写実に頼らず、印象や記憶を基に彫刻を制作しましたが、そんなジャコメッティーを記憶(写真)とイメージによって写実的に表現することに挑戦した作品です。